自営業デザイン屋さんのよもやまブログ

これ、愚痴とかそういうのじゃないですのよ? 気合いの入ったキャラ立ちした皆さまを忘れたくない一心でつい。

2018年06月

そしてわたしはカレーを作る(待ち時間)

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クライアントの「原稿すぐ送ります!」は信じて良いのか?

「原稿……。いま、いま送るところなので少々お待ちください!!」
クライアントさんなり、代理店の営業さんなりがかなりの頻度で言ってくるお言葉。

デザイナー側には毎度毎度
「まだ上がりませんか?」
「見られるところ少しでもあればください!」
「はやく!クライアント待たせちゃうから早く!!」

とか言いまくってくるのにね。

フリーランスにとって、この時間けっこうもったいない。
でも、向こうは「今送ります!」って言ってきているので、どこかに出掛けるのも他の打ち合わせを先に回すのも動きにくい。

今回もそうでした。
今まさに「送ります!」と言われてから、待つこと実に6時間。
そして、さらに継続中なので、下手すると2〜3日来ません。

そば屋の出前の「今出ました!」の方がず〜っとマシなんですよね。

これも、広告業界あるあるなのかな?


だからわたしはカレーを作る(マッサマン)

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待ち時間、それはとても勿体ない。

6時間ただ待っていたわけじゃないよ?
途中何度も状況確認はしているのです。

そもそも後行程を考えると、実はもう時間切れ。
この後無事に原稿が届いたとしても、その段階でスケジュールの組み直しをクライアントに言いつけなければ……。

つまり「お宅の商品、発売日変更しようね」って話しを。

それはそれとして、勿体ない待ち時間。
わたしはカレーを作ることにした。

なんだろう。
煮込みたくなった。何でも良いから。

そして、わたしのような野郎がひとりで、このやるせなさをぶつけながら煮込むには、そこには必ず必要になる物がある。

そう、スパイスだ。

だからわたしは、この待ち時間でカレーを作ることにした。



野郎カレーってのは、こういう物だ!

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そして部屋に立ちこめるのは、通称「世界一美味しいカレー」。

タイ北部の名物、マッサマンカレーをグツグツと煮込む匂い。
ココナッツミルクと、タイっぽいスパイスの混じり合った素敵フレーバーだ。

具材はなんでもいい!!
もう考えるのも面倒なので、普通に日本のカレーみたいに、ジャガイモ!にんじん!タマネギ!

オールスターだ。カレーの具材オールスターである。

ふと気付く。
「そういえば、確か豆入ってたな。以前食べたのには」

ミックスビーンズの出番だ。
何の豆が入っていたのか、ググればすぐわかる。

だがこちとら、野郎カレーだ。

どの豆か分からないならば、MIXされた物をいれる!
何か当たりがあるだろう。

肉はチキンだ!
何となくだけど、タイと言えば鶏肉のような気がする。

あとは黙々と煮込む。

待ち時間のつらさをぶつけるように、待ち時間の分だけ煮込んでやろうと思った。
「煮込めば煮込むほど美味くなるからな!」つって。



カレーが出来ても、原稿は届かない。

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だが、その作戦「待ち時間分だけ煮込む」はその完了を見ることはなかった。

むりだよ。
原稿来ないもん。

そんな何時間も煮込んでたら、具も全部溶けちゃうよ。
その前に、ちょっと水分飛びすぎて、鍋の中の量が減ってた……。

そんなわけで、適当な所で煮込みミッションを終了したわけだ。
煮込みすぎにビビったんだよ。

チキンだけに。

とりあえず、出来たてを食べながら。
未だ原稿は届かない。

一人芝居を書き綴るお仕事

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わたしは雑種系

僕は、所謂純粋なコピーライターではありません。
かといって、純粋なデザイナーでもありません。

デザインもやりつつコピーも書くし、ディレクションにもくちばしを挟むという、雑種系広告屋さんなのであります。

でも、フリーランスとして仕事をしていると、みなさん段々とそうなってくると思うんですよ。
勤め人時代からず〜っと雑種で、雑種歴がやたらと長いっていう部分だけが少々珍しいという程度。

とはいえ、そのバランスもキッチリと半々というわけでもありませんで、2018年現在ではデザイン仕事が7割になってきています。

そうなりますと、自然とデザイン寄りのお話しばかりになってしまうので、文章仕事方面の事もメモしておこうと思います。

余り知られていないかもしれない。
業界の闇に触れてしまうかもしれない、そんなお話しだ。

コレを読むときは、背後に気をつける事だ。



職業ゴースト……。あまり書かない方が良さそうだ。

某年某月某日。
某転職情報を扱う企業様のWEBサイトのライティングのお仕事をいただける事になりました。

クリエイター特化の転職サイトです。
広告業界や印刷業界、写真屋さんなどへの転職情報をメインにしているサイトですね。

この手のWEBサイトを覗いたことのある方は知っているかもしれませんが、Q&Aコーナーとかありますよね?
よくある。結構見かけます。

そしてそんな就職・転職活動業界に数多あるQ&Aコーナーの、端の端のさらに端。
メジャー転職サイトの陰に隠れて、足下に埋もれている某サイトの質問者と回答者。
その両方の中の人が……。何を隠そう、僕なのであります。

そこでの僕は、それこそ千の名前を使い分け、性別の壁も年齢の壁も超越し続けるわけであります。
結構難しい物ですよ?
自分ではない自分になって質問状を書き、それに対して自分ではない自分になって回答をするのですから。

実はこれと似たケースで、某フリーペーパーの某読者コーナーの某読者からの手紙とかも、ゴースト読者として書いてくれという依頼もあったりなかったり。

嗚呼……。
この話題もしかしたら、余り長く書くとやばいかもしれない。

そこそこ闇ですかね〜??

今回は早めに筆を……お……おこ……。

ザ……ザザ…………。

熱血バトル! vsクライアント様 事件。

2018-06-12_A


とはいえ、よくあるデスマーチ。

あれは……そう、とある年の瀬。
それも本当にギリギリの締切直前。
徹夜もこの夜で4日目。

事務所内には、僕と先輩ディレクターの2人。

眠気にあらがう様に、そして何処から何処へ向かっているか分からない怒りにも似たエネルギーをぶつけるように、事務所内には大音量でゴリゴリのヘビメタ曲(Slipknot)が流れていました。

お互いがお互いの仕事に没頭。

やたらと怒り狂った曲(Slipknot)とキーボードを叩く音。
マウスのクリック音と、栄養ドリンクの瓶を開ける音。
部屋の中にはしばらく、そんな音だけが響いていました。

チラリと見やる時計の針は、すでに午前の5時を回っています。

僕「パイセーン!! 担当さんが取りに来るまで……あと3時間です!!」

先輩D「……っつあーーーー!!! Macフリーズしたぁぁぁぁ!!!」

そんな文字通りのデスマーチも、いよいよ追い込み。
ラストスパートの阿鼻地獄。

とはいえ、このくらいの事でしたら、同業の皆さまにおかれましては比較的おなじみの「あるある〜」な、ただのノーマルデスマーチでした。




細マッチョは、空封筒の口を開けながらやってくる。

「おっはようございまーす!!」
某朝の番組の天の声みたいなテンションで、浅黒い肌の担当営業さんが事務所にやってきます。

空封筒の口をしっかりと開けながら。

時計は午前9時手前。

年の頃は40代半ばといった所。
細身長身、短髪に元気いっぱいの声。
熱血。

まあ〜〜〜〜〜〜……爽やかですよ。熱いし。
広告代理店の営業職としては、向いていそうな要素だらけ。

ここからは推測も交えつつ。
肌は浅黒く日焼けをし、ブルースリー型の瞬発力系マッスルをスーツの下に隠していますね。
そしておそらく、下着はブーメラン。

ともあれ、その瞬発力系熱血営業さん(修飾が多い)が封筒の口を開けて近づいてきます。

熱血営業氏「さあ、朝です!お疲れ様です!! 出来ましたか!?」

先輩D「出来ましたよぅ……。」

僕「もう1週間、まともに眠れずにやったので……。文字校正とか代わりにお願いします〜。」

熱血営業氏「うわ……。すみません。年末に無理矢理、来年1年分のパンフのデザイン案なんて。」

先輩D「仕方ないですね。あのクライアントさん、毎度こうですからね。」

などとやり取りがあったり無かったり。

そんなこんなで、無事に文字校正を終えた向こう1年分のパンフデザイン案をしっかりと封筒に収めた熱血営業氏。

熱血営業氏「では!行ってきます! おふたりの徹夜、無駄にしませんよ!しっかりプレゼンしてきますから!!」

いい人なんです。
ちゃんと、デザイナーの苦労に寄り添って色々してくれるし。

意気揚々と、熱血営業氏はクライアントの元へ出掛けて行きました。
そのしなやかな、肉食獣のような瞬発力で。

僕らデザイナーたちの努力と苦労をガソリンに、心に熱い炎をともしながら……。




不穏な気配。しかし僕らはフタをした。

気を抜いていた。

ええ、認めます。
僕も先輩Dも、すっかり気を抜いていました。

「熱血営業氏がプレゼンを終えて帰って来たら、来年の進行を確認して今年は〆だね!!」つって。
「忘年会とか、今から予約間に合いますかね〜?」つって。

だってしょうがないじゃない。
1週間のギリギリ追い込みを、今朝無事に終えたと思っていたのですから。

だって仕方が無いじゃない。
熱血営業氏の、あの出掛けのサムズアップ&ギラリとした笑顔を見てしまったのですから。

確かにその時点で不穏な気配はあったように思える。

僕「予定より遅くないですか? メールも無いですよ?」

先輩D「年の瀬最後だし、クライアントさんと他にも色々話すことあるんでしょ?」

いずれにせよ、僕らには待つことしか出来ない。
予定時間を随分過ぎても連絡が無いこの段階で、僕らの話題はまだ

「忘年会、予約しなくてよかったですね〜。」てなもんであった。

ほんと僕たちはそんな風に、不穏な気配に気付かないふりをしてフタをしてしまった。
「まさかの出来事なんて無い。」そう思い込みたかった。

今から思えばなんであの時、熱血営業氏の携帯にメールのひとつも送らなかったのか。

「何かありました?」って、どこか早めの段階で熱血営業氏と会話が出来ていれば、もしかしたらこの後の悲劇は防げたんじゃなかろうか。

嗚呼……。
振り返れば、その後悔はきりがない。



真夏が出掛けて、真冬になって帰って来た。そんな夕方。

時計を見上げれば、もう夕方の6時を回っていた。
熱血営業氏が意気揚々と僕らの元を出発してから、実に7時間。
「一度連絡しません?」なんて会話になり始めた頃だった。

……ガチャ。

瞬発力のかけらもない音。
全く勢いを感じさせずに、事務所のドアが開いた。

熱血営業氏「……ただいま戻りました。」

熱血営業氏の声は響き渡らない。
アノ瞬発力まみれの、熱血営業氏の声がだ。

たったそれだけ。
一人の営業氏の声が響かなかった。
ただそれだけ。

十分だった。
僕らが背筋に冷たい物を走らせるには。

先輩D「なにか……。ありました?」

熱血営業氏「……。」

僕「あ、とりあえずお茶煎れましょうか。」

熱血営業氏「いえ……。その。」

さほど長い付き合いというわけでは無い。
だから「こんな営業氏は初めて見る」という表現がこの場で使えるのかは分からない。

でも、尋常ではないという事くらいは分かった。
今朝、この事務所を出て行った彼の雰囲気。
それとのギャップだけでも、彼のこの姿は尋常ではない。

浅黒く日焼けした肌は、今朝は健康そのものに見えた。
今は、その黒さがどこか陰になって見える。

季節で例えよう。
朝、彼は確かにギラギラとした真夏だった。
真夏が服を着て、僕らの原稿を持って出掛けて行ったんだ。
ところが午後6時を過ぎた今、目の前には何故か真冬が鎮座している。

不思議なことにどんな角度から切り取っても、僕らの目の前に居る真冬の彼は、確かに今朝僕らの原稿を持って事務所を後にした、真夏の彼と同じ顔をしていた。



担当氏の独白。熱血バトル!vsクライアント様 事件。

そこからは、熱血担当氏の独白と、それを黙って聞く僕たちという構図だ。
空気は派手に動かない。

熱血営業氏「実は……。いや、まずは謝ります。ごめんなさい。」

先輩D「え?いや、何かあったのは雰囲気で察しますが……。まずは事情を。」

熱血営業氏「そう……ですよね。すみません。」

僕「……。ゴクリ。」

熱血営業氏「実は、クライアントとケンカをして帰って来ました……。」

先輩D&僕「「……えっ??」」

その言葉は、僕たちにとって想定外だった。
何かあったのは気配で分かっていたけれど、せいぜい「クライアントから更にとんでもない要望をされまして」とか、そのくらいだと思っていたから。

熱血営業氏「本当に、ごめんなさい。折角1週間も徹夜して追い込んでもらって……。」

僕「あ……いや。」

先輩D「……。」

その後、色々と言葉を交わし合った。
要約するとこうだ。

★僕らの作った来年1年分のデザイン案をまとめたプレゼン資料を、クライアントに説明。

★内容に関しては、クライアントも概ね納得してくれた模様。……だが。

★クライアント側の中のひとりが漏らしたひと言。
 「でも、このくらいのデザインなら余所でもっと安く作れますよね?」
★曰く「私ならもっと安く優秀なデザイン屋を使えますよ」といった主張で、
 「クライアント内のマウンティング行為のように思えた」と。
★そもそもこの1年分のデザイン案提出も、クライアント側から無理に頼まれた作業。
 しかも、これ自体には料金発生していない。
★熱血営業氏は、今朝まで1週間の地獄進行を乗り越えた僕らの事を思ったそうだ。
★そして、その社内同僚に向かってマウンティング行為をしようとした方に向かってカッとなった。

といった具合であった。
このくらいなら、僕らとしても「そんな怒らないでも……。」と、逆に思ってしまうんですがね。
でも、おそらくこれもそれなりにオブラートに包んで話してくれたはず。

正直、クライアントとケンカをして帰って来て、それによって1週間の地獄進行が全部無かった事にされたのは、簡単には飲み込めない。

でも、それでも熱血営業氏に怒りを覚えないのは、僕たちデザイナー側の苦労を自分のこと以上に考えてくれた結果だから。

事件としては、ただそれだけのこと。

クライアントさんとの間でも、少しギクシャクしたのはその「マウンティング氏」とだけで、直後は少しだけお仕事は減ったけれど、取引自体は継続してもらえました。

それから数年かけて、取引案件の数もジワリと増やすことになります。

あれからそのクライアントさんと料金で揉める事が無かったのは、もしかしたらアノ時の熱血営業氏の功績なのかもしれません。

「それ、僕のデザインなんですが……」事件

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よくある話しではあるのです。……が。

今まで僕の上を通り過ぎて行った様々な事件たち。
その中でも、まぁまぁ記憶に残っている「自分のデザインを真似する依頼」が来ちゃった事件について書いてみようかしらと。

デザイナーあるあるだったりするかもしれないですが、時折あるやり取り。

★代理店担当さん「あの〜。このチラシっぽいデザイン、真似して作れますか?」

★デザイナー「いいですけど、さすがに丸パクりは無しですよ?方向性ですよね?」
★代理店担当さん「いや〜。クライアントが“このデザインで”って言ってたので。」
★デザイナー「ちょっと、クライアントと直接話しますわ……。」

何度もあります。
「同じの作ってよ」系依頼。

さらに時折「見本と同じの作ってもらうだけだから、安くできるでしょ?」がセットになったりね。



で、とうとうこんな依頼が。

ある日の午後。
懇意にさせていただいている広告代理店の某担当氏が、新規案件の相談にやって来ます。

「じゃあ、お茶持ってくるんで座って待ってて〜」なんつって、いつも通りに対応を。

担当氏も慣れたもので、いつもの席に座りつつお茶待ちの間に資料を一通り広げて待ち構えます。

そして、いつもの如くいつものテンションで始まる打ち合わせ。

担当氏「実は、お客さんからこれと同じ物をと言われまして……。」

「ああ、またなのね」と担当氏が取り出す“参考資料”をのぞき込みます。

テーブルに出された参考資料のパンフレット。
見覚えがある。あるっていうか……。

かもねぎ「これ?」

担当氏「こっそり、同じデザインで作れます??」

かもねぎ「作れます?もなにも……。」

目の前に出されたのは、以前僕がデザインを担当したパンフレット。

そう、自分のデザインのパクり依頼が、自分の所に回ってきたのです。



この件のオチは、たいしたこと無いんです。

結局、最終的には「こういう方向のデザインを新規で作るって事でいいですね?」と、再度クライアントさんと打ち合わせをさせていただいたり。

そう苦労せずに納得してもらえたので、その後さらに面白い展開とかは無かったです。

全く別クライアントの案件でありましたし、さすがに自分で作ったデザインを余所に流用しておいて「偶然似ちゃったね〜」なんて言えないですしね。



偶然似ちゃったね論。

ていうか「偶然似ちゃったね〜」は出来るだけ避けるようにしてますよ?もちろん。

とは言え限界ありますけど。
ほんと、偶然ってあるし。

そもそも広告デザインの世界には「その業界っぽさ」とかあるんでね。

斬新なデザインで、しかも一目で説得力があるなら最高。
でも、チラ見しかされない広告デザインって、やっぱり「それっぽさを利用する」ってのもあるじゃないですか。

例えば、ぱっと見で物件写真に青空なビジュアルどーん!で「あ、不動産広告か〜。どれどれ〜?」っていう心理的導線。

広告デザインって、そういうのものすごい使う。
「まず大声で言いたいことを言う!」っていうやつ。

さらに例えば、北海道のお寿司屋さんが東京のイベントに出店すると仮定して。
その時に、チラシ配るとしましょうか。

北海道の大自然と、魚の新鮮さアピールのための市場のビジュアルとかを前面に出しても、何屋さんが何を言いたいのか、イマイチぼやけるですよね。

やるなら定番だけれど、寿司職人さんのビジュアルをメインにして、後は背景にお好きな北海道の大自然とか市場とか使えば良い。
少なくとも1秒で「お寿司屋さんのチラシだ!」って分かる。

そういう「この業界なら、この形よね!」っていうのは、積み重ねてきた刷り込みなので使えるならば使えば良いと思うのです。

ただ、逆に僕たちデザイナー側が気をつけなきゃいけないのは「それっぽさ」だけを使ってしまって「偶然似ちゃった」を何度も繰り返しちゃうところかな〜?

さじ加減のお話しなんですよね。
噛み砕いて言っちゃえば。



パクりデザイン依頼って、結構こんな感じだったりも。

閑話休題。

そういう意味で、クライアントさん側からも、自分なりに好きなデザインや作って欲しいデザインの方向性を持ち込んでもらうっていうのは大いに有り。

打ち合わせ早いですもんね!その方が。

あと、毎度そういう「パクり依頼」をしてくるクライアントさんと話しをさせていただくと、その手のクライアントさんって、上司と現場担当者の間に会話が無い……。

僕らは基本的には(どうしても話しが通じない場合はちょっと別)、現場の担当者さんと打ち合わせをしてお仕事をします。

で、「パクってください」って言ってくる現場担当者さんは、大抵「でも上司命令でして……。」って言ってくるんです。
「現場の私には、上司の意見を曲げる権限がありません」つって。

でもほら、ホントにパクれないじゃん?
んで、お話しが進まなくなると僕らに残された道は2つ。

  1. 丸パクりのデザイン案を出しつつ、ちゃんと「方向性だけ汲んだデザイン」案も同時に出す。
  2. 「とりあえず上司だせや」という事を(オブラートに包んで)言う。

大抵のオチはこんな感じに。
上司は「こういう(雰囲気)の作ってもらおう!」って言ったつもりでいて、部下は素直に「こういうのですね!依頼してきます!」っていう、クライアント内部での行き違い。

でも、結局は「方向性は汲む」まではします。
やっぱりさじ加減を間違えちゃ危ないだわ〜っていうだけのお話しですよね。


クラウドソーシングについてのフォローを

なんだか立て続けにクラウドソーシングの話題になります。

別にこのシステムを目の敵にしてるわけじゃ無いけれど、前記事「そうか……。これがクラウドソーシング」では、ちょっとした事件簿の話しを中心にしてしまいました。

なので、ちゃんとフォローしておこうと思います!
別に、クラウドソーシングが悪いって言ってるわけじゃないんだからね!!



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手を出しにくいのは「コンペ形式」の方。

僕はデザイン案件についての事しかわかりませんが、大きく分けて2つの方式があるんですよね。

  1. コンペ形式……例えば「ロゴデザイン募集!採用者には5千円だよ〜!!」っていう形式。
  2. プロジェクト形式……例えば「チラシ作って欲しいです。まずは見積もりください。」っていう形式。

比較的、デザインを仕事にしている人たちが手を出しにくいのは、前者の「コンペ形式」だと思います。

これ、クライアントさんによっては追加修正とかも採択前にどんどん送ってくるんですね。
でも、どんなに頑張って対応しても最後の最後に「社長のハンコもらえませんでした」で不採用。

いや、現実として鶴の一声で不採用なんていうのは、普段の仕事でもある。
結構ある。

あるんですが、その場合って皆さん「じゃあ、ここまでの分は精算できます?」とか、その後のお話しに発展できますよね?

クラウドソーシングのコンペ形式って、先に予算決めてあって、採用者にだけ支払ったりするんですよ。(参加者数人に分割とかっていう事もあるけれど。)

「じゃあ、採用前に修正対応なんかしなきゃいいじゃん!」との声も飛び交いつつ。
それはそう。ごもっとも。

でもね〜。修正対応があったらどんどん対応しましょう!みたいな流れもあったりね〜。

「どうせ出したんだから、採用されて小遣いもらわなきゃ」みたいな気持ちもムクムクと。

それと同時に「修正させるって事は、この案で検討してるってことでしょ?」っていう、思い込みも働きます。
ていうか、普通そう思わない??

ところがどっこい。
コンペ形式は、そんなの全部ひっくり返ります。



それならば、もう一方のプロジェクト形式は?

「じゃあさ」ってんで、もうひとつの方。
「プロジェクト形式」(固定報酬制)はどうだろう?

これはね、仕事としてデザイナーやってる人たちでも比較的手を出しやすいと思う。

要するに「デザインして欲しいから、先に見積もり出してよ〜」っていう、いつものやつだから。

ただこれはコンペ形式とも共通するけれど……。
クラウドソーシングに仕事出してる人は、予算が無い人がほとんど。

ですので、普段の仕事と同じ感覚で見積書を作ると、クラウドソーシング利用のクライアントさんの感覚とはかなりの乖離がね。

それと「普段は広告代理店から」とか「印刷屋さんの営業さんから」なんていう流れで仕事をしている人がやっちゃいがちなんですけどね。

クライアント側にディレクション取れる人いないからね! 見積もりの時に、そこまでよ〜く考えて!!

「予算なさそうだけど、でも自分もちょっと時間空いてるし安く簡単なの作ってやるか〜!」

そんな感じで見積もりして動かすと、実際にはデザインだけじゃ済まないからね。
(でも、フリーランスでやってると普段からディレクションはサービスみたいにやってる人もいる……のかしら?)

いずれにせよ、事前に見積もり出して契約結んでから仕事スタートなので、仕事として手を出しやすいのが、この「プロジェクト形式」(固定報酬制)だと思います。




コンペ形式特有の問題点だよね〜。これ。

どっちの形式でクラウドソーシングを利用するにしても、結局は自己責任なんだけれども。
それを言ったらお終いな気もするのだけれど。

とはいえ、プロジェクト形式(固定報酬制)なら気をつけたいのって「ディレクションまで自分でやるんだって事を忘れないでね!」ていう事くらい。

対してコンペ形式には更に大きな問題があるんじゃないかな?って思ってみたり。
それは「素人さんが募集して、素人さんがチェックして、素人さんが採択する」って事。

これ、直接クライアントさんと打ち合わせしながら進める普段の仕事だと余り無い気がするの。
(そしておそらく、プロジェクト形式みたいな流れでも打ち合わせをしっかりできるなら発生しない問題)

だって、例えばロゴデザインならね。
「そのロゴは、イベント用?それとも企業やブランドで長く使う用?」とか、こっちからクライアントさん側にどんどん踏み込んで提案を詰めていくよね?

なんていうか、ひと言で「ロゴデザイン」って言っても、例えばその利用シーンというか、利用期間?というか、用途によってそのロゴデザインに必要な賞味期限が違うわけじゃないですか?

短期決戦なら派手目なカラフルなロゴが目立つかもしれない。
逆に長く使うブランドロゴなら、よりシンプルで飽きの来ない。そして後々の取り回しのしやすさまで考えてデザインしたい。

でもね、クライアントさん側がその辺りの認識というか知識を持ち合わせていないのは当然なんです。
だって、デザインの仕事をしてる人たちじゃないから。

でも、僕らはその辺りの問題提起が出来る。

そしていつもならクライアントさんとしっかり打ち合わせて、その辺りのレクチャーも出来る。
逆にその打ち合わせの場で、今まで気付いていなかったクライアントさんの思いとかも汲めるかもしれない。

ところが、コンペ形式って打ち合わせが出来ない。
なので専門的なお話しは反映されず、クライアントさんの好みが絶対的な指針になるんだね。




でも!コンペ形式にだって、職業デザイナーさんが参加するアレはある!

「じゃあ、仕事でデザイナーしてる人はコンペ形式参加したらだめだね」
というのもちょっと待って!!

あなたのMACの外付けフォルダの奥深く。
きっとあるはず。

折角生み出してあげたのに、日の目を見ないでいる死蔵デザインの数々が……。

いつもの仕事の中で作られた没デザインとか、それこそクライアントに提案すらしていない、まっさら新品の没デザインですとか。

それ、どうせ死蔵にし続けるなら、ちょっと整え直してコンペ形式の募集に放り投げてみるとかどうだろう!?

そう、クラウドソーシングのコンペ形式は、僕たちのゾンビコンペだ!!
(過去コンペに一度出して「その後の再利用だめよ〜」とか言われてないか、その辺りの用法用量は各々ご確認ください。)

たまにやるけど「外付けフォルダの奥深くですすり泣いていたあの子が、放り投げただけで1万円持って帰ってきた〜!!」とかあるよ。実際。

というわけで、クラウドソーシングは悪くない!
用法用量を守って計画的にご利用してあげればいいんだよ!っていう〆です。

……本気で向き合っちゃうと、大怪我しちゃうかもだけど。

あ、あとね。
デザイン系の学生さんとか、今は趣味だけどデザイン事務所に転職を考えてる人たちには良いかも!

面接に持って行くポートフォリオとか実績作りに使えそうだよね!
よろしくお願いします。
ブログサークル
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プロフィール

かもねぎデザイナー

日本のどっかで、細々と生きている自営業デザイン屋さんです。
コピー書いたり、ディレクションに首突っ込んだり色々して何とか生きています。

先に言い訳を……。
あくまでも、デザイナー視点の勝手なお話しです。クライアント様にはクライアント様なりの事情がおありなのは重々承知。承知ですが、ここはあくまでもデザイナー寄りの主観です。ご容赦ください。
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